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社民党静岡県連

 佐藤新治さん(焼津市)

オンブズマンネットワーク会員であり、1級土木施行管理技士でもある焼津市の佐藤新治さんは、東日本大震災の後、中部電力による浜岡原発の津波対策に疑問を持ち、独自に調査しその結果を持って、5月15日と29日2回、静岡県の原子力安全対策室を訪れ、中部電力の津波対策の問題点を指摘し、県独自の対策を申し入れました。以下、佐藤さんの調査結果を紹介します。

提言

【1】立地条件について

場所としての欠陥要因は、以下の三つに大別される。

(1)浜岡原発で事故が発生した場合、東名高速道路、JR東海道線、国道一号線等々の物流機能が寸断され、新幹線にまで災害が及ぶと日本経済に重大な影響を与え、浜岡に原発を作ったことは過ちである。

(2)西に新野川、東に筬川(おさがわ)の間にはさまれて原子炉建屋があることはまさしく砂上の楼閣である。東海地震の震源域であり、その上、南海地震、東南海地震との連動も予測されている。津波が川を逆流することは、3.11地震で北上川を5キロも逆流して、大川小学校の生徒さん達に多くの犠牲者がでたことは記憶に新しいところである。

(3)浜岡砂丘で有名な浜岡地方一帯の沿岸部はすべて砂浜である。浜岡の砂の特長は、軽くて粒子が細かく、粘着力が無く、水に対する抗力が弱く、堤防構築の素材として不適当である。又、水の影響を受けやすく水流に併せて狭いところでも簡単に流入し、流出もするのでプールや配管に浸入したらその機能を失う。

【2】土木技術者としての見解

浜岡原発周辺の調査を4月に1回、5月に2回(その後7月に2回)、計5回実施し、その時写真を撮ってきたので、その写真に基づいて説明する。



 写真(1)は、浜岡原発東側に隣接する東芝の横を流れる筬川に架かる小塩橋であるが、両岸の橋台受(アバット)は堤防より橋桁の高さ分の2m低く、5月16日の右岸(上流から下流を見て)水面から桁下までの高さは4.4mである。河口の中心線からの幅員は右岸よりも左岸の方がより大きく逆流する津波の圧力は右岸に集中する。


右岸の堤防下には東芝があり、堤防を越えた津波は原発調整池の先、5号炉直近までの大きなプールになることが予測される。もし事故対応のバックヤードとして想定しているなら再考の余地ありと考える。

筬川に架かる小塩橋全景、桁高さ2m、水面から桁下まで4.4m


写真(2)は、原発西側新野川に架かる新野川橋であるが、当該橋梁架設時も、5m以上の津波は想定外であったと思われる。水面から桁下までの高さは4.5mであるが、希望的観測をするならば、原発に接する左岸よりも、目視ではあるが右岸堤防の方が少し低く、強度も裏が無いだけ弱いと推定される。

新野川に架かる新野川橋全景、右岸で計測水面より桁下まで4.5m

ここで気になるのは、写真(3)の排水溝から逆流浸入した津波がプールの高さ6mを超えて砂が入ることが危慎される。

新野川左岸原発排水溝、1・2号炉敷地へ逆流の恐れ


 県道佐倉御前崎港線を直進して原発裏ゲート、右折すれば国道150号信号にいたる。写真(4)は、未舗装の道を左折して調整池を左に東芝を右に見て堤防に上がる道を海岸堤防の上部木の柵で囲っている東芝側よりから写したものである。

新野川左岸原発排水溝、1・2号炉敷地へ逆流の恐れ

(5)の写真は、海側法面(斜面)を海から陸に向かって写したものである。下部沈下による段差は明らかで、今津波がきたら耐えられないであろう。

通称砂丘の海側法面(斜面)下部は沈下し浸食は明らか

写真(6)の低い部分は【2】の(1)で記述した通り、道も含めてプールとなる。

フェンスの向こう側は調整池、その奥は5号炉


 2009年8月11日の駿河湾地震の際、ことのほか揺れの大きかった5号炉の海側前面の全体写真が(7)であり、写真(8)は個々の内容がわかるように撮影したものであるが3.11地震で壊された防波堤と比較して、砂、と割栗石と植栽用の土と草と木の集合体に強度があるとは考えられない。論外である。

冷却水放出口全景、津波逆流浸水の可能性は?

砂丘法面の近接写真、張りブロックが植栽型に注意


 写真(9)は、冷却水の放出口であるが、ここから津波が逆流してプールに浸水のおそれはないか。

冷却水放出口、スラブ上の砂が津波流出後放出口をふさぐ危険


 写真(10)は、津波が第1波だけで収まらず2波3波と押し寄せた場合、3)とこの6)が引き金となって大災害を誘発する事が予測される。1立米の水は1トンの重量があり、高さ10mの津波は表面の10mだけが押し寄せて来るのではなく、海底の震源から厚い層となって襲ってきて標準海面の高さより上に出る部分が10mであることを意味する。


津波は海底の泥を巻き上げながら、水深100mで時速112km、水深10mでも時速36kmで押寄せる。その圧力は1平方メートルあたり水深5mで20トンから50トンと言われている。台風の高潮とは比較にならない想像を絶する巨大なエネルギーであることを認識すべきである。

布団籠の横、すでに法面は崩落し危険である

以上 

平成23年5月29日作成(7月30日加筆)
佐藤新治(焼津市在住・73歳)
(1級土木施行管理技士、第1種安全衛生管理者)


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