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第五福竜丸事件は反核運動の原点

  広島被爆75周年にあたる8月6日、静岡労働会館で「原水爆禁止静岡集会」(主催/県原水禁・県平和センター・県勤労協)が開催され約40名が参加しました。この集会は、コロナ禍にあって広島・長崎の原水禁世界大会がオンラインでの集会となったため、核兵器の廃絶と被爆者援護、脱原発運動を発展させ、核兵器禁止条約批准に向けて運動を発展させていくことを目的に開催されました。

主催者代表挨拶をする橋本勝六県原水禁代表委員(社民党県連合代表)

 参加者全員で「1分間の黙祷」を行った後、主催者を代表して橋本勝六県原水禁代表委員(社民党県連合代表)が、「今から75年前に広島では10数万人余が原爆の犠牲者となった。その後、核兵器廃絶に向けた反戦・反核・平和運動が国際的にも高まり、2017年7月7日、国連において122ヶ国の賛成により核兵器とそれに関わる全てを国際法で禁止する『核兵器禁止条約』が採択された。これまでに条約を批准した国は39ヶ国となり、50ヶ国になれば条約発効となる。しかし、核保有国や日本は『安全保障の現実』を理由に反対している。私たちは、日本政府が一日でも早く署名、批准することを求めて運動を強化していこう。更に、米国トランプ大統領はイラン核合意からの離脱、米ロINF中距離核戦略全廃条約からの離脱、米朝首脳会談の決裂など、核戦略の拡大に安倍政権は追随していることを指摘し、反対の意思を高めていこう」と挨拶しました。

決意を述べる第23代高校生平和大使の今永歩さん(中央)

 次ぎに、第23代高校生平和大使の今永歩さんが「広島原爆投下から75年を迎えた本日、平和な社会を報告することができず残念です。広島・長崎・ビキニは平和の原点であり、決して忘れることはできない課題となっています。未来を担う私たちは、ビキニの教訓を後世に繋げて『核兵器廃絶に向けて運動を進めるのが高校生平和大使の役割』と思って活動を進めていきます。」と決意が述べ、2020年長崎派遣代表の木下桜さんと杉木千夏さんも決意表明をしました。

記念講演で「政治利用の無い平和運動を」元静岡新聞記者の木村力さん

 記念講演は「第五福竜丸~心の航跡~」と題して、元静岡新聞記者の木村力氏から講演を頂きました。木村さんは、乗組員への取材を通じて、乗組員の生の声を集め、その上に立って今後の運動課題も提起してくれました。
 講演では、「1954年3月1日、アメリカによるビキニ環礁での水爆実験により、焼津のマグロ漁船『第五福竜丸』に死の灰が降りかかり、乗組員23人が急性の放射線障害に罹った。被災後、連日陸揚げされたマグロの放射能が測定され、次々に廃棄処分される状況が報道され、原水爆禁止を求める署名活動がはじまり、原水禁運動に発展していった。しかし、当時の日本政府は『アメリカ追随』の姿勢で、東西冷戦体制下と原発推進政策への転換等から、マスコミの報道姿勢に影響を与えた。1960年代に入ると原水禁運動は分裂し、乗組員からは「平和運動に巻き込まれたくない」という声が出始めて、口を閉ざす人も出るなど、ビキニ被災者は広島や長崎とは距離を置くこととなり、ビキニに向けられた関心度も低下する要因になってしまった。しかし、乗組員への取材を通じて感じた事は、『第五福竜丸の乗組員だったことで、政治利用されたくはない』という思いと、『ビキニ事件を決して忘れてほしくない』ということであった。これからの原水禁をはじめとする平和運動にビキニの教訓を生かしてほしい」と結びました。
 同集会は、集会宣言を参加者全員で採択し、午後からの開始される「広島大会」にオンラインで参加しました。

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