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3月9日静岡労働会館で「2017年春闘交流会」(同名実行委員会主催)が行われ、「断ち切ろう貧困の連鎖!―奨学金問題から考えてみよう―」をテーマに、大内裕和中京大学国際教養学部教授が講演した。
大内教授はテンポの良い語り口で自らの体験をもとに「日本育英会時代の奨学金は給付型と無利息主体であった。ところが1984年の全面法改正で有利子枠の創設が決められ、現在の日本学生支援機構は、無利息型の対象者を40万人程度に抑え、利息付奨学金は無利息型の3倍まで拡大した。奨学金とは名ばかりで、金融機関の教育ローンに変質し、利用者はローン返済に苦しみ、金融機関の金もうけの手段となってしまった。諸外国は人づくりに資本を投下し給付型が中心で、利息付の奨学金制度は日本だけだ」と指摘した。
その上で現在の制度では「利息付奨学金(第2種)を月10万円(4年間で480万円)借りた場合の月賦返済額は約2万7千円で、20年返済しなければならない。卒業後の返還の困難さが結婚・子育てなど卒業後の生活を左右している。返済への不安から奨学金借り入れを抑制した場合は、バイト漬けの生活からブラックバイト問題に発展している。社会問題となっている少子化の原因が学生の貧困化にあるといって過言でない」とも指摘した。
大内教授は2012年に「愛知県学費と奨学金を考える会」をスタートさせ、署名活動や政府への働きかけを行い、全国に出向いて講演活動を行い、無利子と給付型の奨学金制度への改善を訴え続けた。これらの活動が実を結び、2017年度から給付型奨学金の先行実施と18年から本格導入にこぎつけた。しかしまだ利用できる枠は限られており、学校・地域単位で奨学金問題・ブラックバイト・労働法の学習会・講演会を行い、社会運動として広げ「貧困の連鎖を断ち切りたい」と運動への協力を求めた。
職場からの報告では、県立総合病院労組。静鉄ジャストライン労組からは人手不足と時間外労働の実態が、静岡ふれあいユニオン興和グローバルユニオン分会からは労働法違反・不当労働行為の実態が報告され、連帯を強め運動を強化していくことを確認し合った。